「安心R住宅」は、昨年の1.4倍に増加!
「安心R住宅」制度は、徐々に活用され確実に既存住宅流通の促進に寄与しつつあるようです。
令和元年12月4日の国土交通省のプレスリリースにより、「安心R住宅」は昨年の1.4倍に増えていることがわかりました。
2018年4月、国が認めるロゴマークを広告に使用できる「安心R住宅制度」が開始
「安心R住宅」とは、特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度のことで、平成29年11月6日告示公布され、平成29年12月1日告示施行されました。そして平成30年(2018年)4月1日に、昭和56年6月1日以降の耐震基準に適合し、インスペクション(建物状況調査等)が行われた住宅で、住宅の購入者の求めに応じて既存住宅売買瑕疵保険を締結できる用意があり、リフォーム等について情報提供が行われる既存住宅に対して、事業者が広告時に国が商標登録したロゴマークを使用することを認める「安心R住宅」制度を創設し、運用が開始されました。
「安心R住宅」は一戸建てよりも共同住宅等で増加
「安心R住宅」として流通している既存住宅は、2018年4月~2019年9月までに一戸建て住宅と共同住宅等の合計で、1953件であることが確認されています。(※登録事業者団体の実施状況の調査による)
そのうち2018年4月~9月までの安心R住宅件数は482件であり、2019年4月~9月までは687件に増加しています。
内、一戸建て住宅では、2018年4月~9月は238件で、2019年4月~9月は259件で21件の増加でした。
共同住宅等では2018年4月~9月は244件でしたが、2019年4月~9月は428件になり、184件の増加で1.75倍となっています。一戸建て住宅はまだまだ活用が遅れているようですが、マンションなどの共同住宅等での「安心R住宅制度」の利用が活発化しています。
リフォームが実施されている物件はリフォーム提案の約7倍
リフォーム工事を実施していない「リフォーム提案」の物件より、「リフォーム済み」つまりリフォームが実施されている安心R住宅物件として広告掲載され、流通している物件が多い。2019年4月~9月では「リフォーム提案」物件に比べ「リフォーム済み」物件が約7倍にもなっており、国の意図しているように中古物件をリフォームして、「不安」「汚い」「わからない」といった従来の中古住宅のマイナスイメージを払拭して、 消費者が「住みたい」「買いたい」既存住宅を選択できるようにし、流通させる傾向が顕著に現れています。
「安心R住宅」の消費者の認知度は6.4%でわずか
しかし日本は欧米と比較して、既存住宅の買い替え、住み替えなどによる中古住宅の流通量は少ない状態です。中古住宅流通には抜本的に改革しなければならない課題が多く、政府も問題解決をしようと動き出しています。
「安心R住宅制度」は、登録事業者が主体になって行うため、事業者には制度の情報が入っていますが、消費者の認知度は極めて低い状態です。
全宅連・全宅保証協会「2018年『不動産の日』住居の居住志向及び購買等に関する意識調」のアンケート結果をみると、「安心R住宅」「瑕疵保険」「インスペクション」について、消費者の認知度がかなり低いことが把握できます。
【安心R住宅について】
■「知っている」6.4%/「聞いたことがあるが 内容は知らない」17.3%
■「聞いたことはないが興味はある」10.8%/「聞いたことがない」65.5%
【瑕疵保険について】
■ 「知っている」16.3%/「聞いたことがあるが 内容は知らない」19.9%
■ 「聞いたことはないが興味はある」9.7%/「聞いたことがない」54.1%
【インスペクションについて】
■ 「知っている」7.7%/「聞いたことがあるが 内容は知らない」12.5%
■「聞いたことはないが興味はある」10.0%/「聞いたことがない」69.9%
現状では、「安心R住宅」「インスペクション」については、知らない、聞いたことがないという人がほとんどです。
消費者から周知されていないことが、中古住宅の購入を、魅力のある買い物として選択肢に上げることができない状態をつくっています。今後の消費者への周知活動が、中古住宅流通の鍵を握るとも言えます。
既存住宅の流通量た安心R住宅についての記事は、サクラ・ワークSsapoの「既存住宅流通問題の打開策 安心R住宅・インスペクションの重要性」で記載していますのでご覧ください。
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