国が検討! 長期優良住宅制度の認定と住宅性能表示制度の一体的な運用

【国が長期優良住宅制度を見直し 更なる普及促進のために方向性を検討】

ストック重視の住宅政策への変換、既存住宅流通の拡大に向けて、平成21年(2009年)6月に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施行され、その法律に基づいて長期優良住宅の認定制度の運用が開始されました。長期優良住宅も2019年6月、まもなく10年を迎えることから、2018年11月より国土交通省にて「長期優良住宅制度のあり方に関する検討会」が開かれ、これまでの運用実績に対する評価や課題を整理して、制度のさらなる普及促進を図るための取り組みの方向性を検討しています。

【住宅性能表示制度と長期優良住宅制度を一体的に運用について検討】

国土交通省は2019年3月27日に第5回「長期優良住宅制度のあり方に関する検討会」を開催しました。長期優良住宅の更なる普及促進に向け、住宅性能表示制度と長期優良住宅制度の一体的な運用や、共同住宅に係る認定基準等について議論がなされました。

現在、長期優良住宅の認定の審査体制は、登録住宅性能評価機関と所管行政庁の二段階での審査となっています。住宅性能評価は、登録住宅性能評価機関のみの審査です。そこで、性能表示制度の責任主体の登録住宅性能評価機関が、長期優良住宅の認定基準の全てを性能評価の枠組みのもとで評価し、所管行政庁の認定手続きを廃止して審査の時間短縮や審査費用の引き下げを図ることを検討しています。
具体的には、住宅性能評価書に「長期優良住宅相当」等(「長期優良住宅基準に適合している」)と明記し、住宅性能表示制度と長期優良住宅制度を一体的に運用することで、さらに制度の普及促進をしようと計画しています。

【長期優良住宅とは? メリットは?】

長期優良住宅とは

住宅をつくっては壊すという社会から、「いいものを作って、きちんと手入れをして長く大切に使う」というストック活用型の社会への転換を目的にして、住宅構造や設備に対して長期にわたって良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅のことです。
既存住宅を増築・改築する場合の認定制度も平成28年4月1日より開始されています。新築・既存住宅ともに、認定を受けるには、所管行政庁に申請を提出し審査に適合する必要があります。

長期優良住宅のメリット

以下の税金の優遇措置があり、住宅取得者には魅力があります。
・所得税の住宅ローン控除
・所得税の投資型減税
・登録免許税の控除
・不動産取得税の控除
・固定資産税の減税
・フラット35Sの金利優遇

【長期優良住宅認定数は戸建新築で約25% 共同住宅はわずか】

長期優良住宅の認定実績数は、「長期優良住宅制度の現状(国土交通省資料)」によると、29年度は、認定された新築住宅は106,611戸で新築着工数の約1割でした。戸建住宅は24.6%ですが、共同住宅においてはわずか0.3%で、共同住宅で長期優良住宅制度が進まないことが大きな問題となっています。既存住宅の認定については下記図にあるようにさらに少ない実績数です。
新築:全住宅着工全体の11.3%
一戸建て 24.6%
共同住宅   0.3%

       参照:国土交通省ホームページ 長期優良住宅のページ


【長期優良住宅の認知度が低い】


住宅の取得者に対して国土交通省が行った調査によると、戸建住宅の取得時に長期優良住宅の制度や内容を知っていた人は59.7%であり、約40%の人は長期優良住宅のことを知らない状態です。
また戸建の認定長期優良住宅の制度内容のことを住宅の取得をしようとする前から知っていた人は27.6%で、検討段階で知った人は53,5%です。(長期優良住宅制度の評価と課題 H30年11月資料)
この数値からもわかるように、長期優良住宅制度は消費者にまだまだ浸透しておらず、住宅の検討段階でも住宅会社などからの情報を得られない状態の方が4割もいるという状況が把握できます。

大手住宅会社では長期優良住宅が普及していますが、まだまだ中小工務店では意識が充分でなく消費者にアピールや供給ができていない状態です、長期優良住宅に対する知識不足、申請方法に手間がかかる、申請から認定までの期間が長いため申請するのが億劫になるなどの多くの障害が理由になっています。長期優良住宅の申請は、慣れてしまえば問題はないのですが、大変残念なことですが、一度行ってみて面倒、大変と思われてしまったり、申請作業に手間取り現場が上手く進行できないためもう二度としたくないと言われる工務店さんにもお会いしたことがあります。

【長期優良住宅の認定基準と住宅性能表示制度の基準について】

認定基準は、住宅性能表示制度の基準をもとに設定されているものがあります。
新築住宅を例にすると、認定基準は9つの性能項目が審査の対象になっています。

  ・長寿命のために必要な条件
① 劣化対策
② 耐震性
③ 維持管理・更新の容易性
④ 可変性(共同住宅のみ)
・社会資産として求められる要件
⑤ 高水準の省エネルギー性能
⑥ 基礎的なバリアフリー性能(共同住宅のみ)
・長く使っていくために必要な要件
⑦ 維持管理保全計画の提出
・その他必要とされる要件
⑧ 住環境への配慮
⑨ 住戸面積

これらの基準の内、住宅性能表示制度の基準を基本に設定されているのは、劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、可変性、バリアフリー性、省エネルギー性の項目です。住宅性能表示制度と長期優良住宅は似た項目があります。しかし、申請の内容を見てみると、住宅性能表示制度の申請は費用面でも高くなり、申請方法も長期優良住宅の認定の方が取り組みやすくなっています。国の方針は、住宅性能表示制度と認定長期優良住宅制度を推進することで性能基準が把握できる優良な住宅の推進ですので、両制度が活用されることが必要です。しかし、普及するためには多くの障害があり、現在実績数が伸びない状況が続いています。

このような背景からも、認定長期優良住宅制度と住宅性能表示制度の一体的な運用が検討されています。次回は、2019年5月13日に「長期優良住宅制度のあり方に関する検討会」が開催される予定です。今後の進展を見ていきたいと思います。

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